義母の短歌

98歳で永眠した義母が書き残した短歌です

2022-01-20から1日間の記事一覧

#37-42 花菖蒲あすは・・・

関西花の寺25ケ所 第1番 観音寺(公式HPはこちら) 花菖蒲あすは開かむ直立の蕾一途に天を仰げり 夕立の雨粒地表を走る時乾ける土が一瞬を匂う 庭の雪積もりしままに黄昏れて唇重く早く戸を繰る 施錠する雨の玻り戸に白き蛾の羽根打ちふるい灯にしたいよ…

#31-36 散弾の・・・

関西花の寺25ケ所 第1番 観音寺(公式HPはこちら) 散弾のふりそそぐ如はじけ飛び雹音立てて地上をまろぶ 鉄塔から鉄塔へ張る線上を猿と紛らう工夫下れり 洗い髪梳きにつつ聴く落とし湯の乱れの調べ闇に吸わるる 初夏の陽は白く乾きて屋根に照る麦藁帽子…

#25-30 髪染めて・・・

関西花の寺25 第1番観音寺(公式HPはこちら) 髪染めて雀百までとつぶやけり残り少なき女を楽しむ 母逝きて写経せし亡父そのままに今心経写す寂しさ噛みしめ 孫といて病む脚忘れ縄跳びに入りし脚が土を離れず 農に明け農に終りし父母が夢にも野良着で在す…