#621-630 喜びも・・・
<義母の短歌>#621-630
喜びもはた悲しみも稀まれに田の字の型の部屋ぬち平穏
人は皆いづくを指すや渋滞のなかのひとりに我が行く方も
電線も途切れてここより墓参道風渉る音父母の呼ぶ音
我が魂の浮遊しはじむ涙腺の弛まん朝を雨降り止まず
朽葉踏む音聴き止めて振り返る人にはあらず腹を擦る猫
戻り来て厨にたてり紋平よりいのこづち散る板間の寂に
風圧にあうられ走る車にて私の残生も煽られている
待つのみの古きおみなを連想す直立のまま黄ばむ半夏生
軍手とう名も消え残る手袋の白きに泥のなお染みており
内裏雛の簪色に山椒の赤実は揺れて雀を待てり
<管理人のおまけ>
ぬち(~のうち?)
渉(わた)る
朽葉(くちば)
厨(くりや)
紋平(もんぺ?)
いのこづち・・雑草
おみな・・おんな
半夏生(はんげしょう)・・白のまばら模様の植物
簪(かんざし)
<管理人のつぶやき>
■ウグイスが 鳴いているよと娘言う声小さきて我に聞こえず