義母の短歌

98歳で永眠した義母が書き残した短歌です

#571-580 かたつむり・・・

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関西花の寺25ケ所 第4番 高源寺

<義母の短歌>#571-580  

かたつむり行きつく先を住まいとし振り向きもせずわれも独りぞ


傾く樋たぎり落つ雨足のいよいよ侘し暮れてゆく軒


旬という言葉を添えて差し出す産毛の露の乾かぬわらび


吹く風に背中衝かれて戻る道鍬を逆さに杖突きながら


脅えつつ表戸繰れば雨傘のコトコト揺れが干されたるまま


鎌置きて腰を下ろすもひとりなり山の静寂に膝を抱くも


出口なき洞に吹き溜まる風の息わくら葉ひとつ陽の隅にあり


三段池に番の家鴉睦み合う離るる一羽目を瞑りいる


懸命に手話にて語る人に対いうなずく女のやわらかき笑み


桃食べに来よという友は乳癌の手術なせりとさりげなく言う

 

<管理人のおまけ>

樋(とい)

番(つがい)

瞑(つむ、つぶ)り

対(むか)い

 

<管理人のつぶやき>

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