義母の短歌

98歳で永眠した義母が書き残した短歌です

#521-530 農の行く・・・

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関西花の寺25ケ所 第4番 高源寺

 

<義母の短歌>#521-530

農の行く先かたみに論じらるるなか存在感なく身を置きており

新生児いまか生まれるがに春蘭の柔毛の蕾土持ち上ぐる


とみこうみ腰をかがめて見極める花びらの芯ささやき持てり


枯れてゆく脈とる医師の目礼に頭蓋はしろき塊となる


夜半過ぎて逢いも久しき男の孫の大人の貌と交わす冷酒


俱にある時きざまれゆくいらだちに目醒めをうながすコーヒー匂う


此の橋をゆこか戻ろか散歩みち独りに見上ぐるたもとの桜


招かれて広き河原に石くれの瀬音聴きつつ村仕事終ゆ


ヘッドライトに煌めく道路息つめて濡れてしとどの狭間をかえる


滅多には動ぜぬドラマに泣かされて今宵はもろきひとりの女

 

<管理人のおまけ>

春蘭(しゅんらん)・・日本を代表するラン
とみこうみ・・あっち見たりこっち見たりすること

貌(ぼう)・・顔かたち
俱(とも)に

煌(きら)めく

 

<管理人のつぶやき>

■柳の芽 朝日に光る綿帽子 霜降りたかと触って見たり

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