#511-520 風の径・・・
<義母の短歌>#511-520
風の径さけて憩える陽溜りに誰待つとなく刻流れゆく
ウインドの己が姿に眼を反らしこごみて探す春の花鉢
ふと想う下降の終の安らぎかエスカレーターに運ばるるとき
孵らざる卵を抱きて瞑りおり東天紅に声なく母の日
ひと組の肌着の渦の洗濯機目盛り通りの刻を動けり
すれ違う人は他人の匂いする不意に背筋を伸ばして歩く
雪明りあつめるガラスのテーブルに細く影曳く水仙孤独
引取りては貰えぬ芥の脱穀機野曝しのまま四とせを座わる
ひといろに枯れ葦すだれとたつ河原煩悩払う石塊のなか
戦いの日々に短き青春過ぎ流さるるごとく母となりにし
<管理人のおまけ>
径(みち)
孵(かえ)らざる
瞑(つむ)り
東天紅・・明け方の東の空
曝(さら)し
葦(アシ、ヨシ)
<管理人のつぶやき>
■今日の歩は まだ雪残る二王門 これより先は無理せず帰る
■二王さん 国宝だけに優し顔