義母の短歌

98歳で永眠した義母が書き残した短歌です

#491-500 川岸の・・・

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関西花の寺25ケ所 第4番 高源寺

 

<義母の短歌>#491-500

川岸の拓かれて陽を浴ぶ幾つ岩なかに寄りあう夫婦岩あり


水底に尺余すなる大鯰ゆらり影曳く寒中の泳


終駅にも似たる吾が背かかたえより旅人のごとく子等発ちてゆく


三戸五戸小聚落のちりぢりに一戸をひらく女あるしぞ


霜柱踏めば崩るる音かそか消えゆくものを足裏に覚ゆ


命の火いのちの刻がぢりぢりと雨に研がれて捲きとられてゆく


手放せるわが田のあとのひこ生えを褐色の風はげしく揺らす


にわたずみ濁れるままに写しいる立看板のそよろの濁り


常小屋に初めて視たるトーキー映写は荒木陸相の演説なりき


臘梅の透ける花片臈たけて剪らむとする掌にこぼれ落つ蕾

 

<管理人のおまけ>

拓(ひら)かれて

鯰(なまず

かたえ・・かたわら、そば

聚落(しゅうらく)・・集落、村落

ひこ生え・・根元から新たに生える芽

にわたずみ・・雨が降って地上にたまり流れる水

そよろ・・物が軽く触れ合ってたてる音を表す

臈(ろう)

剪らむ(きらむ)

蕾(つぼみ)

 

<管理人のつぶやき>

■早くこい ワクチン打って春を待つ