義母の短歌

98歳で永眠した義母が書き残した短歌です

#381-390 雑草に・・・

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関西花の寺25ケ所 第3番 金剛院

 

<義母の短歌>#381-390

雑草に混じる野ぼたん際立ちて人はばからず花散らしゆく


いささかの心残して去る庭の石蕗つましく見送りくれる


柿の実の赤く熟れても人居らず夕昏れの雲の流れは早し


枯れ枝の岸をすべりて音立てる湯船に腰をうかせるもろさ


ほんのりとガラス戸染める朝茜夢見心地のうつつを醒ます


朝刊をひと日の始めと広げても文字を辿らぬ眼は遊びいる


静寂の極みに水面蒼あをと底辺に沈む芥もあるに


人影は灯に帰りゆき野に迫る闇に鴉の二声残す


大根を十本余り洗い終え今日を安らぐ極道となり


葬り後の夫婦茶碗寡婦となる余生の限り我が傍にあれ

 

 

<管理人のつぶやき>
石蕗(つわぶき)・・蕗に似た植物
朝茜(あさあかね)
 
<管理人のこの頃>
■コロナ禍で3月予定ほぼ中止うれしいものも偶にはあり