義母の短歌

98歳で永眠した義母が書き残した短歌です

#2101-2105 枯れ葉にも・・・

福知山市三和町中出 梅田神社

 

<義母の短歌>#2101-2105

#2101    枯れ葉にもくすぶる想いのあるものか容易く灰になると限らず


#2102    倖せはこの位で良しポケットに零余子一杯心が温い


#2103    人といて水に油の孤独感ひとり草引く野に翳おとす


#2104    定年を迎えし弟乾ける砂崩るるごとく病魔に倒る


#2105    里人の大半還暦すぎている村の祭りが滅法明るい

 

<管理人のおまけ>

翳(かげ)

崩(くず)るる

 

<365人の生き方>

■考える 脳にタコが できるまで

米朝邦雄 日本将棋連盟会長 永世棋聖

#2096-2100 血も流さず・・・

福知山市三和町中出 梅田神社

 

<義母の短歌>#2096-2070

#2096    血も流さずバッタバッタと悪を斬る将軍吉宗今世にあらば


#2097    手の泥をモンペにこすり捥ぎくれし日昏れのトマト熱溜めいたり


#2098    逃げるなどとても出来ないかたつむりその道ゆくな車が通る


#2099    やせこけし母の乳首を奪い合う仔猫の尻尾なぜか天向く


#2100    竜の髭丹念に抜くわが仕種人は嗤えど茶の木がよろこぶ

 

<管理人のおまけ>

捥(も)ぎ

竜の髭・・多年草

仕種(しぐさ)

嗤(わら)えど

 

<365人の生き方>

■なぜ亀は ウサギに勝てたか 考える

(四代目 三遊亭圓歌

#2091-2095  「母ァ母ァ」と・・・

福知山市三和町中出 梅田神社

 

<義母の短歌>#2091-2095 

#2091    「母ァ母ァ」と騒ぐな子鴉お前とていまにひとりで生きねばならぬ


#2092    明日のなきアメリカ芙蓉惜しみなく燃す情念のほむらひとしお


#2093    閣僚の顔ぶれ並ぶ新聞に蜜したたらせ白桃を剥く


#2094    まゆごもる山繭のみる夢青からんその小世界ひとり居に似て


#2095    零余子はや色づきそめし山の幸誰と食まんか草刈り残す

 

<管理人のおまけ>

蜜(みつ)

剥(む)く

まゆごもる・・家の中にこもっている

山繭(やままゆ)・・大きな蛾

零余子(むかご)・・山芋の一種

 

<365人の生き方>

■要因の 三番おごり 次妥協 そして怠慢 最後あきらめ        
(永森重信 日本電産社長 会社がおかしくなる六つの要因)        

 

#2086-2090 杉山に・・・

福知山市三和町中出 梅田神社

 

<義母の短歌>#2086-2090

#2086    杉山に闇溜りいて青白き山葡萄の花妖しげな


#2087    地を這う風踏み越え走る野良猫が何思いしかはたと振り向く


#2088    物置の古びし農具にどくだみが戸の隙間から夏を告げいる


#2089    湯上がりの赤子のような歌が好き泣くも笑うも天衣無縫に


#2090    たじろげるわれに微動もせぬ墓は瞼ゆっくり開きてとざす

 

<管理人のおまけ>

山葡萄・・野生のぶどう

妖(あや)しげ

天衣無縫(てんいむほう)

瞼(まぶた)

 

<365人の生き方>

■会社が おかしくなる 要因は 一番マンネリ  二番が油断
(永森重信 日本電産社長 会社がおかしくなる六つの要因)

#2081-2085 谷深き・・・

福知山市三和町中出 顕龍山興雲寺

 

<義母の短歌>#2081-2085

#2081    谷深き一軒家の老い恙なくあるらし今日も煙が上る


#2082    鍵穴にカギさしまま友は留守風のどかなり静けさはます


#2083    乳牛と共に餌食む仔狸に罠仕掛けるなと嘆く牛飼い


#2084    農繁期過ぎたる野辺に人気なくどこかで杭を打つ音がする


#2085    小鍬もて耕し終えし荒畑の土の温もり手に掬いみる

 

<管理人のおまけ>

恙(つつが)なく

 

<365人の生き方>

■プロとは 寝ても覚めても 仕事のみ

(相田一人 相田みつ美術館館長 プロとアマチュアとの絶対差(父の言葉))